ボリビア  

 アルゼンチン北部から、ボリビアに入ると、風景ががらっとかわりました。未舗装の歩道をかっとばす、満員のおんぼろ車、高地アンデス山脈、見渡す限りの草地、先住民族の美しい虹色の民族衣装。以前住んでいたグアテマラに戻ってきたような気がしました。
 先住民族の多さ、国の発展段階や教育の遅れ、経済や政治の問題など、いい所も悪いところも全てグアテマラと似通っています。
ただ、グアテマラはマヤ系の先住民が殆どなのに対し、ボリビアはインカ系先住民族ケチュア族、アイマラ族、またジャングル付近に住むアマゾン系先住民族、パラグアイ系のグアラニー族など、非常に多種にわたります。そのおかげか、ボリビアの踊りの多さは南米一と言えるくらいです。少なくとも20はあります。食べ物は、肉を中心とした料理で、バラエティーがあまりあるとはいえませんが、*インカ時代以前より栽培してきたポテトの多さには驚かされます。市場で売られているのでも20種類はありました。原種なども含めると400種あると言いますが、、。
 ちなみに、ボリビアの特徴的な嗜好品は何かと、聞かれるとまちがいなくインカ時代以前よりあった、コカでしょう。タバコも中南米原産ですが。コカの葉は単に嗜好品ばかりではなく、儀式、儀礼、手術、葬式、普段の挨拶の交わしなど、様々な場所で使われました。そして今も使われています。チチカカ湖付近の人々は首から小さなポーチをぶらさげ、そこにコカの葉をつめていました。その中の葉を友人と挨拶を交わしながら交換するのが礼儀なのです。祈りの場所にも必ずコカの葉が登場します。高地では高山病予防にお湯でコカ茶を飲み、鉱山労働者達はコカの葉をかんでそれで空腹感をまぎらわし労働にはげみます。徹夜で勉強しなければならない学生もコカの葉をかんで目をさますとか。だから、コカの葉はもともとここの先住民の精神的なシンボルでした。それを精製し、コカインを作り出し、麻薬にしてしまったのは欧米諸国です。ですから、今もコカの葉は国外持ち出し禁止にされています。ぜひ、日本でもコカ茶を飲みたいのですが、、。


*インカ時代以前:プレインカと言われる。南米ではインカ文明が注目されがちだが、それ以前にチャビン、モチカ、ナスカ、ワリ、ティワナコ、チムーなど優れた文明があった。特にインカ帝国の基盤はチムー帝国時代に作られた。

ポトシ銅山でリャマの生贄祭に参加しました。
リャマの喉から流れ出た血を皿に受けて、坑道の入り口と家に撒きます。そして血を自分の顔にも塗ります。毛皮を切り取り、肉を解体していきます。取り出した内臓は坑道の中の悪魔神に施します。
肉はバーベキューにして、皿に甘いオカ芋とジャガイモを盛り、その上に巨大な肉を載せます。ウチュ・クタというトウガラシのソースを好みでかけます。
ちなみにポトシは世界で最も高いところにある街、約4300m。富士山の頂上よりも高いところに街があるのだ。少し走るとすぐに息がきれる。
左、鉱山の町ポトシの名物料理”カラプカラ”コーンポタージュスープにトウガラシの油が浮いている。中心には熱された小石が2つ入っている、小石の回りのスープが沸騰しグツグツしながら出てくる。私の予想では鉱山夫が山にスープを持っていき、熱いスープを食べるために発明した料理だと思うのだが。
写真右、ピカンテ・デ・レングア(牛の舌のピリ辛ソース)、やはり鉱山労働者が多い街の為か、油が多めでトウガラシも多めで辛い。他にウサギや鶏肉のピカンテがある。
世界最大のウユニ塩湖にて。塩の採掘現場ではツルハシで岩のように硬い岩塩を掘っていた。
 一面真っ白で雪のような塩の平原を車で一時間ほど走ると塩でできた家に着く。家をなめるとやっぱり塩辛かった。しかしここは殆ど雨が降らない場所で、溶ける心配はない。少々の雨でも岩のブロックのように硬い塩は崩れない。塩のテーブルでビールを飲む。ここを訪れると、普段使っている塩に対する価値観が変わってしまう。
スークレの町、昔のコロニアル風の街が残る。壁は全て条例で白に塗られている。美しい街だ。丘の上のカルバリオ寺院からの眺めが最高。
ここの名物のロンガニサ(腸詰)。スパイスが効いている。クミンが入っているのか、少しシークケバブのような味がした。ここの国もアラブの移住者と料理店が多いのでその影響ももしかしたらあるのかもしれない。
写真、ボリビアの先住民の飲み物”チチャホラ”トウモロコシを発芽させた酒を売る店。赤い旗が目印。ペルーでは赤い造花が目印だった。暑い日にはこれを飲むとすっきりする。アルコール分は少ない、健康飲料の意味合いがある。写真はコチャバンバ周辺タラタ村のチチャ屋。

店の中は、日がささず、土壁がひんやりする。仕事休みのひととき、井戸端会議も始まる。情報手段が発達していないかった時代からの重要な社交場であったのでは?
ボリビアの首都ラパスの市場。町自体が大きな盆地になっており家がそこにびっしり建てられている。その道、坂沿いに市場が所狭しと立つ。その一つ呪術の品物を売る店。インカ系の神々の像から鳥やリャマの乳児を乾燥させたものまで。パゴ・ア・パチャママ(大地の神への奉げもの)という儀式で用いる。様々な物をまぜて容器に入れて燃やし祈る。
 市場のアヒ(トウガラシ)。種類も豊富である。生、乾燥、粉などが売られている。カレー粉もあった。
コカ博物館、小さいが、非常に良い博物館。プレインカからのコカの利用から始まり、欧米でコーラ、薬品、麻薬に使われた経過、ゲリラとの麻薬戦争と依存症の問題。コカの葉の食用方など、多種にわたってコカの葉を解説している。非常に啓蒙的な内容でもある。
 コカ茶は高山病の予防や疲れを取るのに効果を発する。私もボリビアに入ったときから毎日い何杯もコカ茶を飲んでいたおかげか、全く高山病にはかからなかった。高山病は4000m近いラパスに飛行機で入ると少なからずかかるという。悪化すると肺に血が溜まり死亡することもあるとか。
 チチカカ湖沖にあるトルーチャ(虹鱒)の養殖場。10数年前にJICA日本政府の援助で建てられた。現地住民への養殖の指導など減り続ける天然物の虹鱒の増加に貢献しているらしい。虹鱒の冷凍卵や燻製、ちくわなども生産している。ボリビア市内のホテルなどに出荷するとか。
 訪ねた養殖センターで働いている協力隊員宅にて、生きた虹鱒を料理する。刺身、味噌汁、照り焼きなどを作る。一匹1kgにもなる魚なので、たくさん肉がとれる。刺身は寄生虫が少し心配だったが、身のしまりもよく美味であった。現地では油で揚げるかスープなどなどシンプルな調理法で食べられている。